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会計事務所の資料回収を効率化|AI・クラウドで督促をなくす方法

ラクゼイ編集部 約9分で読めます

お役立ち資料:「AIで記帳が自動化できる」の落とし穴(PDF) →

会計事務所 資料回収 効率化は、月次巡回監査や記帳代行の起点となる工程でありながら、多くの事務所で最も属人化・非効率化しやすい業務です。顧問先への督促電話、メールの個別送信、Excelでの進捗管理といったアナログな運用を続けている限り、担当者は毎月同じ確認作業に時間を奪われます。本稿では、督促の自動化・進捗の一元管理・AI-OCRとの連携という3つの軸から、会計事務所が資料回収を効率化する具体的な手順と、導入時の注意点を整理します。

会計事務所 資料回収 効率化とは|何が非効率の原因になっているのか

会計事務所 資料回収 効率化とは、顧問先から通帳コピー・領収書・請求書などの証憑を回収するプロセスに、クラウドツールやAIを組み込み、担当者の督促・確認・入力にかかる工数を削減する取り組みを指します。

多くの事務所では、資料回収の進捗を担当者個人のメモやExcelで管理しており、「誰にいつ督促したか」「未提出の顧問先は何社残っているか」が事務所全体で可視化されていません。月次巡回監査を50社担当する事務所であれば、月初の1週間だけで督促の電話・メール送信に延べ10〜15時間を費やしているケースも珍しくなく、これは担当者1人あたりの月間稼働の1割前後に相当します。資料回収が遅れると、その分だけ記帳・試算表作成・月次報告のスケジュール全体が後ろ倒しになり、繁忙期には申告期限との綱引きにもなります。

資料回収が非効率になる原因は、次の3つに整理できます。

  • 督促作業が個人の記憶とタイミング任せになっている(自動化されていない)
  • 顧問先ごとに提出方法(紙・PDF・写真・クラウドアップロード)がバラバラで、受領後の仕分けに手間がかかる
  • 進捗状況が事務所内で共有されておらず、二重督促や督促漏れが発生する

督促業務をAI・クラウドで自動化する仕組み

督促の自動化とは、提出期限に応じてリマインドメールやチャットメッセージを自動送信し、担当者が個別に連絡する手間をなくす仕組みです。

クラウド会計ソフトの多くは、顧問先とのやり取りを一元管理する「書類回収」「証憑収集」機能を備えています。たとえばfreeeやマネーフォワード クラウドでは、証憑のアップロード依頼をシステム経由で送付し、未提出の顧問先には自動で督促メールが送られる設定が可能です。これにチャットボットやLINE WORKS連携を組み合わせれば、顧問先が使い慣れたチャネルで資料提出を完結させられます。

生成AIを組み合わせる場合は、督促メールの文面作成に活用する方法が現実的です。顧問先ごとの過去のやり取りのトーンや、提出遅延の理由(繁忙期・担当者不在など)を踏まえた督促文をChatGPTやClaudeで下書きし、担当者が内容を確認してから送信する運用であれば、文面作成の時間を数分単位に圧縮できます。ただし、顧問先の固有名詞や取引内容を含む依頼文をそのまま外部の生成AIに入力すると、入力データが学習に利用される設定のまま送信してしまうリスクがあるため、オプトアウト設定の確認や、テンプレート化した汎用文面での運用にとどめる判断も必要です。

進捗管理を一元化して督促漏れ・二重督促をなくす

進捗の一元管理とは、顧問先ごとの資料提出状況を事務所内の全員がリアルタイムで確認できる状態にすることです。

Excelでの進捗管理が非効率になる最大の理由は、更新が担当者の手作業に依存し、他のスタッフや所長がリアルタイムで状況を把握できない点にあります。これに対し、SmartHRやkintone、あるいは会計ソフト付属のタスク管理機能を使えば、「未提出」「督促済み」「提出済み・未確認」「確認済み」といったステータスを顧問先単位で可視化できます。所長が朝会で進捗を一目で確認できる状態を作ることで、督促の抜け漏れや、同じ顧問先に複数の担当者が重複して連絡してしまう事態を防げます。

たとえば顧問先30社の事務所では、進捗管理表をクラウド化し督促メールの自動送信と組み合わせたことで、月初の督促業務にかかる時間が月あたり8時間から2時間程度に短縮された運用例があります。削減できた時間は、決算前検討会や顧問先への提案業務など、付加価値の高い業務に再配分できます。

AI-OCRとの連携で回収後の仕分け工数も削減する

AI-OCRとの連携とは、回収した証憑を単に受け取るだけでなく、受領と同時に仕訳データ化まで自動で進める仕組みを指します。

資料回収の効率化は「集める」工程だけで終わらせず、「集めた資料をどう処理するか」まで設計することで効果が最大化します。顧問先がスマートフォンで撮影した領収書をアップロードすると、AI-OCRが自動で日付・金額・取引先を読み取り、勘定科目の推定まで行う仕組みを組み合わせれば、資料が届いた時点で記帳作業の大半が完了している状態を作れます。AI-OCRの精度や運用の勘所については、当サイトの「AI-OCRで領収書処理を自動化|手入力を90%削減」でも詳しく解説しています。

このプロセスを月次巡回監査のスケジュールと連動させれば、訪問前の準備段階で試算表のドラフトがある程度完成した状態を作れます。巡回監査の効率化については「巡回監査×AIで訪問準備と資料チェックを効率化する方法」も参考になります。

導入ステップ|4週間で資料回収フローを再設計する

資料回収の効率化は、いきなり全顧問先に新しいフローを展開するのではなく、段階的に試すことでトラブルを防げます。

  1. 1週目: 現状の資料回収フローを棚卸しし、督促にかかっている時間・未提出率の高い顧問先を洗い出す
  2. 2週目: 進捗管理をクラウド化し、督促メールのテンプレートと自動送信のタイミング(期限の3日前・当日・超過後)を設計する
  3. 3週目: 提出方法をデータ提出(スマホ撮影・PDFアップロード)に統一する顧問先から先行導入し、AI-OCRとの連携を試す
  4. 4週目: 運用結果を踏まえて督促文面・送信タイミングを調整し、全顧問先への展開スケジュールを決める

記帳代行業務全体の自動化手順については「記帳代行×AIで95%自動化|会計事務所の実装手順と費用」で詳しく解説しているため、資料回収の効率化と合わせて検討すると、記帳プロセス全体の見直しにつながります。より高度な自動化を目指す場合は、督促・仕分け・進捗更新までを一連のワークフローとして設計する「税理士事務所向けAIエージェントの作り方」も参考になります。

電子帳簿保存法との関係と守秘義務上の注意点

資料回収の効率化を進める際は、電子帳簿保存法上の要件と、顧問先データの取り扱いに関する守秘義務の両面に配慮する必要があります。

顧問先からデータで受領した証憑をそのまま保存する場合、電子帳簿保存法における電子取引データ保存の要件(真実性・可視性の確保)を満たす形で保管する必要があります。クラウド会計ソフトの証憑保存機能はこの要件に対応している製品が多いものの、独自のクラウドストレージやチャットツールで資料をやり取りする場合は、タイムスタンプ付与や検索要件への対応を別途確認する必要があります。電子帳簿保存法への対応の全体像は「電子帳簿保存法×AIで対応負担を減らす実践法」にまとめています。

また、税理士法第38条が定める守秘義務の観点から、資料回収に使うツールが顧問先の氏名・取引先名・金額といった機密情報をどこに保存し、誰がアクセスできるかを事前に確認しておくことも欠かせません。無料のチャットボットサービスや汎用の生成AIツールを安易に導入すると、想定外のデータ保持や学習利用につながる可能性があるため、契約前にデータの取り扱い方針を確認する運用が望ましいといえます。

よくある質問

Q. 資料回収の自動化は顧問先の反発を招きませんか。 A. 新しいツールへの切り替えを急に全顧問先へ一斉展開すると、操作に不慣れな顧問先から反発を受けることがあります。ITリテラシーの高い顧問先や新規契約先から先行導入し、運用が固まってから既存顧問先へ展開する順序が現実的です。

Q. 紙の資料しか提出できない顧問先にはどう対応すればよいですか。 A. 紙提出を完全になくす必要はありません。紙提出の顧問先には従来通りの督促フローを残しつつ、データ提出が可能な顧問先から段階的に自動化を進めることで、事務所全体の平均処理時間を下げられます。

Q. 督促メールの文面を生成AIで作る際に気をつけることはありますか。 A. 顧問先固有の取引内容や個人名を含む詳細な文面を外部の生成AIにそのまま入力せず、汎用的なテンプレートの作成・言い回しの調整といった用途にとどめる運用が安全です。

Q. 進捗管理ツールはどのように選べばよいですか。 A. 既に利用している会計ソフトに書類回収・進捗管理機能が付属している場合は、まずその機能を使い倒すことが優先です。機能が不足する場合に限り、kintoneなどの汎用ツールの追加導入を検討すると、コストと運用負荷のバランスが取りやすくなります。

まとめ|資料回収の自動化が月次業務全体のボトルネック解消につながる

会計事務所 資料回収 効率化は、督促の自動化・進捗の一元管理・AI-OCRとの連携という3つの仕組みを組み合わせることで、月次業務全体の起点となるボトルネックを解消できる領域です。督促にかかる時間を削減できれば、その分の時間を顧問先への提案業務や決算前検討会に振り向けられ、事務所全体の生産性向上につながります。一方で、電子帳簿保存法の要件や守秘義務への配慮を欠いた拙速な導入は避け、段階的な展開を心がけることが重要です。

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